不妊治療と仕事の両立を企業が支援することは、離職防止と生産性向上を同時に実現する経営戦略です。本記事では、制度設計の方法から助成金、成功事例までを解説します。
- 不妊治療を受ける労働者は約47万人(厚労省調査)、企業支援の社会的必要性
- 両立支援に取り組む4つの具体的方法と制度設計のポイント
- 「くるみんプラス」認定や助成金など活用できる公的制度
- 離職率低下・採用力強化など企業が得られる5つのメリット
- 形骸化させない運用と相談しやすい職場づくりの実践ノウハウ
不妊治療と仕事の両立支援を企業が行う意義は、優秀な人材の離職防止・採用力強化・生産性向上にあります。具体策は休暇制度、柔軟な勤務、相談窓口、上司教育の4つが基本で、くるみんプラス認定取得も有効です。
不妊治療と仕事の両立で企業が直面する課題とは?
不妊治療と仕事の両立で企業が直面する最大の課題は、治療を理由とした離職が約16%発生していることです。厚生労働省の調査によると、不妊治療経験者の約87%が「仕事との両立が難しい」と回答し、特に通院回数の多さ(体外受精で月4〜10回)や急な予定変更が両立を困難にしています。
不妊治療を受けている労働者は国内で約47万人と推計され、5.5組に1組のカップルが治療を経験する時代です。この層を支援できない企業は、貴重な戦力を失うだけでなく、採用市場でも不利になります。
不妊治療と仕事の両立を企業が支援する4つの方法
不妊治療と仕事の両立を企業が支援する方法は、大きく4つに整理できます。重要なのは、制度を作るだけでなく「使える状態」にすることです。
| 支援方法 | 具体例 | 導入コスト目安 |
|---|---|---|
| 休暇制度 | 不妊治療休暇(年5〜10日)・時間単位有休 | 低(規程改定のみ) |
| 柔軟な勤務 | 時差出勤・テレワーク・フレックスタイム | 中(システム整備) |
| 相談窓口 | 産業医面談・外部EAP・人事専門担当 | 月3〜10万円 |
| 意識醸成 | 管理職研修・社内ハンドブック配布 | 20〜50万円/年 |
特に効果が高いのが「不妊治療休暇」と「テレワーク」の組み合わせです。通院日のみ柔軟に対応できる仕組みは、従業員の心理的負担を大幅に軽減します。
くるみんプラス認定と助成金で支援コストを削減する方法
2022年に新設された「くるみんプラス」認定は、不妊治療と仕事の両立支援に積極的な企業を厚生労働省が認証する制度です。認定企業は採用ブランディングに活用でき、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)として1企業あたり最大28.5万円が支給されます。
さらに健康経営優良法人認定でも不妊治療支援は加点項目となっており、ESG投資や入札評価でも有利に働きます。
不妊治療支援で企業が得られる5つの経営メリット
不妊治療と仕事の両立支援を企業が導入することで得られるメリットは以下です。
- 離職率の低下:治療離職リスクを最大80%削減
- 採用競争力の向上:くるみんプラス認定で母集団形成に寄与
- プレゼンティーイズム改善:心理的安全性向上で生産性アップ。損失額シミュレーターで自社の損失額を試算可能
- 女性活躍推進:管理職候補のキャリア継続を後押し
- 企業イメージ向上:ESG・SDGs文脈での評価向上
不妊治療と仕事の両立支援を形骸化させないための運用ポイント
制度を作っても使われなければ意味がありません。WellConが7万人の指導実績から確認している成功パターンは、週1回15分の継続的な健康施策設計と3〜4年の継続率を組み合わせた運用です。
具体的には、①匿名で利用申請できるフロー設計、②管理職向けに「不妊治療リテラシー研修」を年1回実施、③社内ハンドブックで制度を可視化、の3点が形骸化を防ぐ鍵となります。施策が形骸化している場合は、利用実績の可視化と上司教育から立て直すのが効果的です。
よくある質問(FAQ)
- Q: 不妊治療休暇は法律で義務化されていますか?
- A: 2026年5月現在、不妊治療休暇の法的義務はありませんが、努力義務として位置付けられています。くるみんプラス認定や助成金で導入を後押しする仕組みが整っています。
- Q: 中小企業でも無理なく導入できますか?
- A: はい。時間単位有休や既存の特別休暇への組み込み、テレワーク併用など低コスト施策から始められます。両立支援等助成金で最大28.5万円が支給される点も中小企業に有利です。
- Q: プライバシー配慮はどうすればよいですか?
- A: 申請書類で「不妊治療」と明記せず「私傷病」「通院」で運用する、人事担当を限定する、データを暗号化保存する、の3点が基本です。本人同意なく上司に共有しないルールも必須です。
- Q: 男性社員も対象になりますか?
- A: なります。不妊原因の約半数は男性側にあり、男性も通院・検査が必要です。性別を問わず利用できる制度設計が、くるみんプラス認定の要件にもなっています。
- Q: 制度を作っても利用されない場合は?
- A: 利用率が低い原因の多くは「申請しづらい雰囲気」です。匿名相談窓口の設置、管理職研修、利用事例の社内共有で改善できます。コンサル比較や選び方に迷う場合は専門家に相談しましょう。
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