結論:健康経営宣言は「取り組みの背景」「具体的施策・目標」「経営者の署名・日付」の3要素を経営者の言葉で記載することが必須です。この記事のテンプレートに沿って【 】を埋めれば、最短30分で下書きが完成します。
健康経営優良法人の認定申請で「健康経営宣言」が必要と知り、「どうやって書けばいいかわからない」と悩んでいませんか?宣言文は難しく考える必要はありません。ただし、いくつかのポイントを押さえないと、書類審査で「形式的な宣言」と評価されてしまうこともあります。今回は、健康経営宣言の書き方と例文・よくある失敗を解説します。
- 宣言に入れるのは「理由・施策と目標・署名と日付」の3つだけ
- 文章量は200〜400文字程度で十分。長さより具体性が大切
- 穴埋め式テンプレートと業種別の記入例(製造業・IT)を掲載
- 宣言後に「まず1つ施策を動かす」ことが形骸化を防ぐ最大のコツ
健康経営宣言とは何か?なぜ必要なのか
健康経営宣言とは、企業のトップ(代表取締役・社長)が「従業員の健康を経営課題として取り組む」という意思を文書で表明するものです。健康経営優良法人(中小規模法人部門)の申請では、加入している保険者(協会けんぽ等)への「健康宣言」の登録が必須要件となっています。
宣言が必要な理由は、健康経営を「人事部が担当している施策」ではなく「経営トップがコミットしている経営戦略」として位置付けるためです。トップのメッセージがあることで、従業員への浸透度と施策の実効性が変わります。
宣言には、主に次の3つの役割があります。
- 社内向け:経営者の本気度が伝わり、施策への参加率が上がりやすくなる
- 社外向け:取引先や求職者に「従業員を大切にする会社」という姿勢を示せる
- 申請向け:認定申請の前提条件を満たし、書類審査での説得力が高まる
なお、申請要件や手続きは年度ごとに見直されることがあります。実際に申請する際は、最新の申請要領と加入先の保険者の案内を必ず確認してください。
この話、マンガで読めます(無料・登録なしで途中まで)健康経営が「お飾り」になる会社のワケマンガで読む →健康経営宣言の書き方:3つの要素
健康経営宣言に含めるべき要素は以下の3つです。
要素1:健康経営への取り組みの理由・背景
なぜ自社が健康経営に取り組むのかを、経営者の言葉で語ります。「従業員が最大の資産だから」「お客様に最高のサービスを提供するためには従業員の健康が前提だから」など、自社の事業・ビジョンと結びついた言葉が理想的です。
書き出しに迷ったときは、次の問いに答えてみてください。
- 自社の強みや提供価値は、従業員のどんな力に支えられているか
- 過去に離職・休職・長時間労働などで困った経験はあるか
- 従業員にどんな状態で働き続けてほしいか
要素2:具体的に取り組む施策・目標
「健康診断の受診率100%を目指します」「ストレスチェックを全従業員が受検できる環境を整備します」など、具体的な取り組みを記載します。抽象的な「健康を大切にします」だけでは説得力に欠けます。
中小企業が宣言に盛り込みやすい施策の例は次のとおりです。
- 定期健康診断の受診率100%の維持、再検査・精密検査の受診勧奨
- ストレスチェックの実施と、結果を活用した職場環境の改善
- 長時間労働の是正、有給休暇の取得促進
- 運動習慣・食生活・禁煙など、生活習慣改善の支援
- 相談窓口の設置など、メンタルヘルス不調の早期発見・対応
ポイントは、「いま実行できること」から3つ前後に絞ることです。欲張って10個並べるよりも、確実に実行できる3つの方が、従業員にも審査側にも誠実に伝わります。
要素3:宣言者の署名・日付
代表者の氏名・役職・日付を明記します。これが「トップのコミットメント」の証明になります。担当者や人事部長の名前ではなく、必ず経営トップ本人の名前で出しましょう。
健康経営宣言の例文
以下は実際に使えるシンプルな宣言文の例です。自社の言葉に合わせてアレンジしてください。
私たちは、従業員一人ひとりの健康こそが、会社の持続的な成長の基盤であると考えています。
従業員が心身ともに健康で、いきいきと働ける環境を整えることは、経営者の責務です。当社は「健康経営」を経営戦略の柱として位置づけ、健康診断・ストレスチェック・メンタルヘルス対策・運動習慣の推進など、従業員の健康を守るための取り組みを継続して実施してまいります。
すべての従業員が健康で充実した日々を過ごせる職場を目指して、ここに健康経営宣言を行います。
○○年○月○日 代表取締役 ○○ ○○
コピペで使える健康経営宣言テンプレート(穴埋め式)
ここでは、そのままコピーして【 】の中を自社の情報に置き換えるだけで完成する、穴埋め式のテンプレートを用意しました。前述の「3つの要素(理由・施策・署名)」がすべて入る構成になっています。
【会社名】は、従業員一人ひとりの健康こそが、【自社の事業・ビジョン(例:お客様に最高のサービスを届けること)】を実現するための基盤であると考えます。
従業員が心身ともに健康で、いきいきと働ける環境づくりを経営の最重要課題のひとつと位置づけ、トップ自らが率先して以下の取り組みを推進します。
一、【施策1(例:定期健康診断の受診率100%を維持する)】
一、【施策2(例:ストレスチェックを全従業員が受検し、結果を職場改善に活かす)】
一、【施策3(例:運動・食生活・禁煙など生活習慣改善の支援を行う)】
これらの取り組みを通じて、すべての従業員が健康で充実して働ける会社を目指すことを、ここに宣言します。
【西暦】年【 】月【 】日
【会社名】 代表取締役 【代表者氏名】
※ 健康経営優良法人(中小規模法人部門)を目指す場合は、加入する保険者(協会けんぽ等)の「健康宣言」事業への参加が申請の前提となるのが一般的です。最新の申請要領を確認のうえ、社内公表用とあわせて準備しておきましょう。
記入例①:製造業(従業員50名)
「株式会社○○製作所は、ものづくりを支える従業員一人ひとりの健康こそが品質と安全の基盤であると考えます。現場の身体的負担の軽減と、定期健康診断の受診率100%・特定保健指導の実施率向上に取り組み、長く安心して働ける職場を目指します。」のように、自社の事業特性(現場の身体負荷)に紐づく課題を盛り込むと説得力が高まります。
記入例②:IT・サービス業(従業員30名)
「△△株式会社は、社員の創造性とパフォーマンスは心身の健康から生まれると考えます。長時間労働の是正、ストレスチェックを起点とした職場環境改善、運動不足の解消支援に取り組み、社員が健康でいきいきと挑戦できる環境をつくります。」のように、デスクワーク中心の業種ならではの課題(メンタル・運動不足)を具体化すると、形だけでない宣言になります。
形式的と見られやすいNG例と、直し方
宣言文でよくある失敗と、その改善の方向性をまとめます。
- NG:「従業員の健康を大切にします」だけで終わる
→ 改善:「健診受診率100%」など、確認できる目標を1つ以上入れる - NG:他社の宣言文をそのまま転用し、自社の事業との接点がない
→ 改善:自社の仕事内容や職場の課題に触れる一文を加える - NG:署名や日付がなく、誰の意思表明かわからない
→ 改善:代表者の役職・氏名・日付を必ず記載する - NG:宣言を作っただけで、社内に周知しない
→ 改善:朝礼・社内掲示・社内報などで、経営者自身の言葉で伝える
宣言から申請準備までの基本の流れ
宣言の作成から認定申請までは、おおむね次の順序で進めます。
- 自社の課題を洗い出す:健診結果、残業時間、離職・休職の状況などを確認する
- 宣言文を作成する:上記のテンプレートに沿って3要素を埋める
- 保険者の健康宣言に参加する:協会けんぽ等の案内に従って登録手続きを行う
- 社内に公表する:掲示・朝礼・社内報などで全従業員に伝える
- 施策を実行・記録する:申請時に説明できるよう、実施内容を記録しておく
手続きの名称や時期は保険者や年度によって異なる場合があるため、加入先の最新案内を確認しながら進めてください。
宣言を「形だけ」で終わらせないために
WellConが支援している企業の中で、健康経営宣言を書いた後に起きた変化として多いのが、「経営者が宣言したことで、人事が動きやすくなった」という声です。宣言が社内に公表されることで、「うちの社長は本気なんだ」という意識が従業員に広がり、施策への参加率が上がることがあります。
逆に「宣言だけして何もしない」状態が続くと、従業員の不信感につながります。宣言とセットで、まず1つでも具体的な施策を動かすことが大切です。
最初の一歩としておすすめなのは、次のような負担の小さい取り組みです。
- 健康診断の未受診者に個別で声をかける
- ストレスチェックの結果から、職場全体の傾向を確認して共有する
- 月に1回、健康に関する情報を社内で共有する
健康経営宣言の作成・保険者への登録・認定申請の準備にお悩みの方は、WellConに無料相談ください。
よくある質問(FAQ)
- Q: 健康経営宣言とは何ですか?
- A: 企業のトップが「従業員の健康を経営課題として取り組む」意思を文書で表明するものです。健康経営優良法人(中小規模法人部門)の申請では、保険者(協会けんぽ等)への登録が必須です。
- Q: 健康経営宣言に含めるべき3つの要素は何ですか?
- A: ①健康経営に取り組む理由・背景、②健康診断受診率100%など具体的な施策・目標、③代表者の氏名・役職・日付の署名の3点です。抽象的な表現だけでは説得力が不足します。
- Q: 健康経営宣言は誰が署名する必要がありますか?
- A: 代表取締役・社長などの経営トップが署名します。これにより健康経営が「人事部の施策」ではなく「経営戦略」として位置付けられ、従業員への浸透度や施策の実効性が高まります。
- Q: 健康経営宣言を書いた後にやりがちな失敗は何ですか?
- A: 宣言だけして具体的な施策を動かさないことです。「宣言したのに何も変わらない」状態が続くと従業員の不信感につながります。宣言とセットで、まず1つでも施策を実行することが重要です。
- Q: 健康経営宣言を社内公表するとどんな効果がありますか?
- A: 経営者が宣言を社内公表することで、「社長が本気で取り組んでいる」という意識が従業員に広がります。その結果、人事が施策を動かしやすくなり、健康関連施策への参加率が上がる効果があります。
- Q: 宣言文はどのくらいの長さが適切ですか?
- A: 200〜400文字程度で十分です。長さよりも「自社の言葉で理由を語っているか」「確認できる目標が入っているか」が重要です。テンプレートを基に自社向けに調整してください。
まとめ
健康経営宣言のポイントを振り返ります。
- 宣言に必要なのは「理由・背景」「具体的な施策・目標」「経営者の署名・日付」の3要素
- 施策は実行できるものを3つ前後に絞り、受診率100%など確認できる目標を入れる
- 自社の事業や職場の課題に触れると、形式的な宣言に見えにくくなる
- 宣言は社内に公表し、あわせて最初の施策を1つ動かすことで実効性が生まれる
- 申請要件は年度で変わることがあるため、最新の申請要領と保険者の案内を確認する
まずは本記事のテンプレートの【 】を埋めて、宣言文の下書きを作ってみてください。書き方や申請の進め方に迷ったときは、WellConへの無料相談もご活用ください。
📘 この記事は健康経営の体系ガイドの一部です。全体像は健康経営とは?制度・認定・効果をまとめた完全ガイドでまとめて確認できます。
関連記事
- 健康経営優良法人の認定後にやるべき効果測定|メリットを数字で検証する方法
- 健康経営度調査のフィードバックシートの見方|偏差値の読み方と改善優先順位の決め方
- 健康経営優良法人ロゴの広報活用|採用・名刺・自社サイトでの使い方
- 健康経営優良法人が採用の求心力になる理由|認定を人材獲得に活かす実践ガイド
- 健康経営銘柄とは|上場IT企業が選定される条件と準備の進め方