結論:健康診断の受診率が上がらない企業には「手間・選択肢・フォロー不足」という共通の3原因があります。予約の会社一元管理・受診環境の柔軟化・自動リマインドによる未受診者フォローの仕組み化、この3施策を実行した企業では受診率が大幅に改善し、健康経営優良法人の認定基準(100%)を達成したケースも複数あります。
「健康診断の受診率が毎年上がらない」——人事・総務担当者の方から繰り返し聞く悩みです。法律上、年1回の健康診断実施は事業者の義務(労働安全衛生法第66条)ですが、実態は受診を後回しにする従業員が後を絶ちません。受診率が低いと健康経営優良法人の認定基準を満たせないだけでなく、従業員の健康リスクが見えないまま放置され、生産性低下や医療費増加につながります。本記事では、受診率を実務レベルで引き上げた3つの施策を、原因の特定から実践ステップまで具体的に解説します。

健康診断の受診率が上がらない3つの原因
施策を打つ前に、なぜ受診率が低いのかを整理しましょう。多くの企業に共通する原因は以下の3つです。原因を特定せずに対策を講じても効果は出ません。
原因1:受診の「手間」が従業員に委ねられている
医療機関への問い合わせ・予約・場所の選定まで、従業員が自分でやらなければならない仕組みになっている企業は非常に多いです。日常業務が忙しい中で手配を後回しにするうち、気づけば年度末ギリギリ——あるいは期限切れ——になってしまうパターンが、未受診の最大の原因です。
原因2:受診できる日程・場所の選択肢が少ない
提携医療機関が本社周辺にしかない、平日日中のみ受診可能、といった制約があると、リモートワーク中の社員や外回りが多い従業員は物理的に受診できません。「受けたい気持ちはあっても受けられない」状況が、そのまま未受診率に直結します。
原因3:未受診者へのフォロー体制がない
期限を過ぎても未受診の従業員に対して、何もアクションしていない企業は少なくありません。「受けなくても誰も何も言わない」という空気が組織に漂うと、未受診が毎年繰り返される常態が生まれます。仕組みなき声かけは、担当者の属人的な負担になるだけです。
健康診断の受診率を確実に上げる3つの施策
施策1:予約・手配を会社側が一元管理する
受診率改善で最も即効性が高いのは、従業員の手間をゼロに近づけることです。「手間がかかるから後回し」という構造を根本から断ち切ります。具体的には以下の方法が有効です。
- 巡回健診の導入:健診機関に会社へ来てもらい、就業時間内にまとめて受診させる。移動時間がゼロになるため、受診率が一気に向上します。複数の企業で導入初年度から受診率が20〜30ポイント改善した実績があります。
- 予約代行サービスの活用:健診予約を一括管理できるシステムを導入し、人事が全従業員分の予約を取得。従業員は指定された日時に受診するだけの状態を作ります。
- 受診期限をカレンダー自動登録:全従業員のグループウェアカレンダーに受診期限と予約済み日程を自動登録し、「うっかり忘れ」を防止します。
施策2:受診しやすい環境を設計する
「受けたくても受けられない」従業員をゼロにするために、場所・日程の選択肢を広げることが欠かせません。
- 提携機関の全国展開:全国の健診センターと法人契約を締結し、リモートワーカーや地方在住者でも居住地近くで受診できる体制を整えます。
- 土日・夜間受診の費用会社負担化:就業時間外の受診も会社負担とし、「仕事が忙しくて平日が無理」という言い訳を排除します。
- 受診日の有給扱い明文化:受診日を有給休暇として取得できるルールを就業規則に明記することで、「受診しやすい雰囲気」を制度として担保します。
厚生労働省が公開している健康増進のための取り組みガイドラインでも、健康診断の受診環境整備は事業者の重要な責務として位置づけられています。
施策3:未受診者へのフォローを仕組み化する
受診率向上の最後の決め手は「フォローの自動化」です。担当者が一人ひとりに声をかける手動運用は、組織規模が大きくなるほど限界を迎えます。
- リマインド通知の自動送信:受診期限の1か月前・2週間前・3日前に自動でメール・チャット通知を送信。期限が迫るほど通知頻度を上げることで行動を促します。
- 未受診者リストのダッシュボード可視化:受診状況をリアルタイムで把握できるダッシュボードを整備し、管理職が自部署の状況を自分で確認できる仕組みを構築します。
- 管理職を受診勧奨に巻き込む:未受診者がいる部署の管理職に個別フォローを依頼します。上司・同僚からの直接の声かけは、メール通知よりも行動変容を促す力が格段に強いです。

受診率100%と健康経営優良法人の認定基準
健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定基準では、定期健康診断の受診率100%が求められます。大規模法人部門でも受診率向上が評価項目に含まれており、認定取得・維持の観点からも受診率は重要な指標です。
受診率が100%に届かない段階でも、「受診勧奨の実施」「未受診者へのフォロー体制の整備」が認定上評価されるケースがあります。まずは現状の受診率を正確に把握し、目標値と具体的な改善計画を社内で共有することから始めましょう。
受診後のデータ活用が健康経営の本丸
健康診断は「受けて終わり」では意味がありません。受診率100%を達成した後は、結果データをどう活用するかが健康経営の真価を問われるステップです。有所見率の高い部署の傾向分析、生活習慣病リスクが高い従業員への保健指導の実施、産業医との連携強化——これらを組み合わせることで、健康診断データが企業の生産性向上に直結します。受診率の改善と並行して、データ活用の仕組みも早期から整備することを推奨します。
健康診断の受診率向上や受診後のデータ活用・健康経営推進にお悩みの方は、WellConに無料相談ください。受診率改善から健康経営優良法人の認定取得まで、貴社の規模と状況に合わせてサポートします。
まとめ:受診率向上は「仕組み」で解決できる
健康診断の受診率が上がらない背景には、必ず「手間・選択肢・フォロー不足」の3原因があります。本記事で紹介した施策を整理すると以下のとおりです。
- 施策1(手間をなくす):巡回健診の導入・予約一元管理・カレンダー自動登録で、従業員の受診ハードルをゼロに近づける
- 施策2(選択肢を広げる):全国提携機関の拡充・土日夜間受診の費用負担・有給ルールの明文化で「受けられない理由」を排除する
- 施策3(フォローを仕組み化):自動リマインド・ダッシュボード可視化・管理職連携で、未受診者へのフォローを属人化させずに回す
3施策すべてを一度に整備する必要はありません。まず自社の受診率が低い「主原因」を特定し、最も影響の大きい1つから着手するのが現実的です。健康経営優良法人の認定を視野に入れている企業は、今期中に受診率の現状把握と目標設定だけでも済ませておくことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
- Q: 健康診断の受診率が上がらない主な原因は何ですか?
- A: 受診率が上がらない原因は主に3つです。①予約・手配を従業員が自分でしなければならない、②受診できる日程や場所が限られている、③未受診者へのフォローが仕組み化されていない、が挙げられます。
- Q: 受診率を短期間で大きく改善するには何が最も効果的ですか?
- A: 最も即効性が高いのは予約・手配の会社一元管理です。巡回健診の導入や予約代行サービスで従業員の手間をゼロにすると、導入初年度から受診率が大幅に向上するケースが多いです。
- Q: 未受診の従業員へのフォローをどのように仕組み化すればよいですか?
- A: 受診期限の1か月前・2週間前・3日前に自動リマインド通知を送り、未受診者リストをダッシュボードで可視化するのが効果的です。管理職から直接声かけしてもらう運用も行動変容に有効です。
- Q: 健康経営優良法人の認定に必要な受診率は何%ですか?
- A: 中小規模法人部門では定期健康診断の受診率100%が求められます。100%に届かない場合でも、受診勧奨の実施や未受診者フォロー体制の整備が評価されるケースがあります。
- Q: 健康診断の受診後にデータをどう活用すれば健康経営につながりますか?
- A: 有所見率の高い部署の分析や生活習慣病リスクが高い従業員への保健指導、産業医との連携を組み合わせることで、健康診断データを企業の生産性向上に直結させることができます。
📘 この記事は健康経営の体系ガイドの一部です。全体像は健康経営とは?制度・認定・効果をまとめた完全ガイドでまとめて確認できます。
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