福利厚生として健康施策を行うとき、非課税になる条件と経理処理を整理します。ジム・整体・健康グッズの扱いも解説します。
- 福利厚生費として非課税になる3つの条件
- ジム・整体・健康グッズごとの課税・非課税の分かれ目
- 備品を10万円未満・30万円未満で処理する際の基準
- 勘定科目の選び方と、税務調査で否認されないための記録方法
福利厚生で健康施策を非課税にする条件は、全従業員が対象であること、金額が社会通念上妥当であること、会社が事業者へ直接支払う現物給付であることの3点です。現金支給や特定の人だけへの提供は給与課税となります。
福利厚生 健康 非課税が認められる3つの条件とは?
福利厚生費として非課税になる条件は、①全従業員が対象、②社会通念上妥当な金額、③会社が事業者に直接支払う現物給付の3つです。いずれかを欠くと、従業員への給与として源泉所得税の対象になるおそれがあります。
- 全員対象:役員や特定の部署だけに限定した施策は、給与や役員給与と判断されやすくなります。
- 妥当な金額:業種や規模に照らして常識的な範囲であることが求められます。
- 現物給付:現金を渡して従業員に購入させる方式は、原則として給与課税です。
国税庁のタックスアンサーでも、福利厚生費と給与の区分は支給の態様で判断するとされています。最終的な判断は、顧問税理士や所轄税務署に確認してください(国税庁 タックスアンサー)。
ジム・スポーツクラブの法人契約は福利厚生費になる?
全従業員が利用できる法人契約であれば、会社が支払う会費は福利厚生費として非課税で処理できます。一方、従業員個人が契約した会費を会社が補助したり、現金で渡したりすると、給与として課税されます。
法人契約では、利用資格を全従業員に周知し、利用が一部の人に偏らない運用にしておくことが重要です。請求書の宛名は会社名にし、契約書は保管します。
整体・マッサージ費用は非課税になる?
社内に施術スペースを設け、全従業員が利用できる場合は福利厚生費として処理できます。従業員が個人で通った整体の費用を会社が肩代わりする場合は、給与課税となるのが原則です。
出張施術を導入するときは、利用枠を公平に配分し、希望者を募る方法にします。利用日・人数・費用の記録を残しておくと、調査時の説明がしやすくなります。
健康グッズ・備品は何円まで経費にできる?
健康グッズの経費処理は、取得価額で決まります。10万円未満は一括で費用化、10万円以上30万円未満は中小企業者等の特例(年間300万円まで)が使えます。それ以上は減価償却が必要です。
スタンディングデスクや人間工学チェア、空気清浄機などは、会社の備品として購入し、事業所で使います。個人に配るサプリメントや活動量計は、全員に同一のものを配布する形であれば福利厚生費として扱いやすくなります。
健康施策別の課税・非課税を比較表で確認するには?
施策ごとの非課税の条件と勘定科目は、次の表のとおりに整理できます。
| 施策 | 非課税となる条件 | 主な勘定科目 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定期健康診断 | 法定項目を全員に実施 | 福利厚生費 | 受診日の扱いを統一する |
| 人間ドック | 全員が対象で金額が妥当 | 福利厚生費 | 特定の役員だけは不可 |
| ジム法人契約 | 全員が利用でき会社が直接支払う | 福利厚生費 | 個人契約の補助は給与課税 |
| 整体・マッサージ | 社内施術で全員が利用可能 | 福利厚生費 | 個人の通院費の肩代わりは課税 |
| インフルエンザ予防接種 | 全員が希望できる | 福利厚生費 | 現金支給は不可 |
| 健康グッズ・備品 | 会社の備品として購入 | 消耗品費・備品 | 10万円・30万円の基準を確認 |
福利厚生費の経理処理で失敗しないための4つのポイントとは?
経理処理で失敗しないためには、規程の整備、領収書の宛名、利用実績の記録、勘定科目の統一の4点を押さえることが重要です。
- 規程を整える:対象者・上限額・利用方法を文書にします。
- 宛名を会社にする:領収書や請求書は会社名義で受け取ります。
- 利用実績を残す:利用者数と費用を記録し、公平性を示します。
- 科目を統一する:仕訳は「福利厚生費/現金・預金」を基本にします。
税務上の整理だけでなく、施策を続ける設計も欠かせません。経済産業省は、健康経営を従業員の健康保持・増進に対する経営的な投資と位置づけています(経済産業省 健康経営)。導入しても使われず形骸化する例は多く、形骸化解決ページで対策を確認できます。
弊社が支援した企業では、週1回15分設計の小さな習慣から始めた施策が定着しやすく、平均継続期間は3〜4年でした。体調不良による生産性低下であるプレゼンティーイズムの損失は、損失額シミュレーターで試算できます。外部の専門家を選ぶ際は、比較ページの選び方も参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
- Q: ジムの会費を会社が負担すると非課税になりますか?
- A: 全従業員が利用できる法人契約で、会社が事業者へ直接支払う場合は福利厚生費として非課税です。個人契約の会費を現金で補助すると、給与として課税されます。
- Q: 役員だけが利用する健康施策は福利厚生費になりますか?
- A: 役員だけ、または特定の人だけを対象とする施策は福利厚生費と認められにくく、給与や役員給与として課税されるおそれがあります。全従業員が使える制度にしましょう。
- Q: 整体やマッサージ代を従業員に現金で支給してよいですか?
- A: 現金で支給すると給与として源泉徴収の対象になります。社内に施術スペースを設けるか、事業者へ会社が直接支払い、全従業員が使える形にすると福利厚生費として処理しやすくなります。
- Q: 健康グッズは何円まで福利厚生費にできますか?
- A: 一律の上限はなく、社会通念上の妥当性で判断されます。備品は取得価額10万円未満なら一括で費用化でき、30万円未満は中小企業者等の特例(年間300万円まで)を使えます。
- Q: 健康施策の支出は消費税の仕入税額控除の対象になりますか?
- A: 福利厚生のための支出でも、課税仕入れに当たるものは仕入税額控除の対象です。ただし非課税取引に当たるものは対象外のため、請求書の税区分を確認し、税理士にご相談ください。
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