健康経営の費用は、全員が対象など条件を満たせば福利厚生費として経費にできます。健診・予防接種・運動補助の要件を解説します。
- 健康経営の費用を福利厚生費で経費にできる3つの条件
- 健診・人間ドック・予防接種の仕訳と、給与課税されない範囲
- 運動補助が給与課税される場合と、されない場合の分かれ目
- 給与課税を避けるために社内規程へ盛り込む5項目
健康経営の費用は、全従業員が対象で金額が社会通念上妥当なら、福利厚生費として経費にでき給与課税もされません。特定の人だけが対象だったり現金で支給したりすると給与扱いになるため、対象・金額・支払方法を社内規程で明文化することが重要です。
健康経営の費用を福利厚生費で経費にする条件は?
全従業員が対象で、金額が社会通念上妥当、かつ会社が直接支払う(現物提供)場合に、健康経営の費用は福利厚生費として経費になり、従業員への給与課税も生じません。
福利厚生費とは、従業員の健康維持や生活の向上のために会社が負担する費用である。経済産業省によると、健康経営とは従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することである(経済産業省 健康経営)。取り組みに使った費用は、次の3条件を満たすと税務上も安全に処理できる。
- 全員が対象:役員や一部の社員だけでなく、希望する全従業員が同じ条件で利用できる
- 金額が妥当:社会通念上、一般的と考えられる範囲の金額である
- 現物提供・会社払い:現金を渡さず、会社が機関や事業者へ直接支払う
条件を外れると給与課税の対象となり、源泉所得税の徴収漏れを指摘されるおそれがある。国税庁の公開情報(国税庁 タックスアンサー)も、あわせて確認したい。
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全従業員が対象であれば、健診・人間ドックの費用は福利厚生費として経費になり、給与課税もされない。労働安全衛生法により、事業者は常時使用する労働者に年1回の定期健康診断を実施する義務がある。厚生労働省によると、その費用は事業者が負担するのが原則である(厚生労働省)。
法定項目を超える人間ドックも、「35歳以上の全員」のように客観的な基準で対象を決め、誰でも同じ条件で受けられるなら、一般に福利厚生費として処理できる。仕訳は次のとおりである。
- 会社が健診機関へ支払う場合:借方「福利厚生費」/貸方「普通預金」
- 従業員が立て替えて精算する場合:領収書を添付し、同じく「福利厚生費」で処理する
役員だけを対象にした人間ドックは、給与(役員報酬)として課税される可能性が高い。対象範囲の偏りが最も多い指摘事項である。
予防接種の費用を福利厚生費にできる条件は?
業務上の感染予防を目的に、全従業員が希望すれば受けられる形で会社が負担する予防接種は、福利厚生費として経費にできる。インフルエンザのほか、職種によっては麻しん・風しん、海外赴任者向けの渡航ワクチンなどが該当する。
- 対象者の範囲(全従業員、または職種などの客観基準)を規程に明記する
- 接種機関へ直接支払う、または領収書で精算する
- 接種は任意とし、強制しない
費用の目安は、インフルエンザワクチンで1人あたり3,000〜5,000円程度である。従業員の家族分まで負担すると給与扱いになりやすいため、対象は従業員本人に限定するのが無難である。
運動補助(ジム・フィットネス)が給与課税される分かれ目は?
運動補助は、現金で渡すと給与課税され、会社が法人契約して全員が使える形にすると福利厚生費にできる可能性が高い。分かれ目は「誰が契約し、誰に現金が渡るか」である。
| 補助の方式 | 経費区分 | 給与課税 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 法人契約のジム・オンラインフィットネス(全員利用可) | 福利厚生費 | 原則なし | 利用実態を記録する |
| 社内の運動スペース・備品 | 福利厚生費 | なし | 全員が使える運用にする |
| ウォーキング大会など全員参加のイベント費 | 福利厚生費 | 原則なし | 参加機会を全員に開く |
| 個人契約のジム会費を現金で補助 | 給与 | あり | 源泉徴収が必要 |
| 歩数・運動達成への現金インセンティブ | 給与 | あり | 少額でも原則課税 |
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給与課税を避ける社内規程には何を書けばよい?
社内規程には、対象者・対象範囲・上限額・支払方法・申請手順の5項目を明記する。規程があれば、税務調査でも「全員に開かれた制度」であると説明できる。
- 対象者:正社員、パート・アルバイトなど、対象となる従業員の区分
- 対象範囲:健診、予防接種、運動補助など、補助する項目
- 上限額:1人あたりの年間上限(例:人間ドック3万円まで)
- 支払方法:会社が事業者へ直接支払う、または領収書で精算する
- 申請手順:申請書の様式、期限、証憑の保管期間
規程は就業規則の付属規程として整備し、従業員へ周知した記録も残しておく。
健康経営の経費処理で失敗しないための3つの注意点は?
失敗の多くは、対象者の偏り、現金支給、証憑不足の3つに集約される。
- 対象者の偏り:役員や管理職だけの優遇は給与課税の対象になる
- 現金支給:補助金を給与に上乗せして渡すと課税される
- 証憑不足:領収書や利用記録がないと、福利厚生費と認められにくい
規程を整えても運用が止まる形骸化は、費用対効果を下げる大きな要因である。対策は形骸化解決ページにまとめている。外部の支援を使う場合は、コンサル比較や選び方の基準を比較ページで確認するとよい。個別の税務判断は、顧問税理士や所轄の税務署へ確認すると確実である。
よくある質問(FAQ)
- Q: 健康診断の費用は全額福利厚生費にできますか?
- A: 法定の定期健康診断は会社負担が義務で、全従業員が対象なら福利厚生費として全額経費にでき、給与課税もありません。法定項目を超える検査も、全員が同条件で受けられるなら原則同様に扱えます。
- Q: インフルエンザ予防接種の費用は経費になりますか?
- A: 全従業員が希望すれば受けられる形で会社が負担するなら、福利厚生費として経費にできます。役員だけ、または一部の人だけを対象にすると給与扱いになる可能性があるため、対象範囲を揃えてください。
- Q: ジム会費の補助は給与課税されますか?
- A: 従業員が個人契約したジム会費を現金で補助すると、給与として課税されるのが原則です。法人契約で全従業員が利用できる仕組みにするなど、健康維持との関連を説明できる形にすると課税リスクを抑えられます。
- Q: 福利厚生費の仕訳はどう書けばよいですか?
- A: 会社が健診機関へ支払う場合は「福利厚生費/普通預金」と仕訳します。従業員が立て替えて精算する場合も、領収書を添付して福利厚生費で処理します。消費税区分は内容により異なるため税理士に確認しましょう。
- Q: 人間ドックを役員だけ受けさせると経費になりますか?
- A: 役員や特定の人だけを対象にした人間ドック費用は、給与(役員の場合は役員報酬)として課税される可能性が高いです。全従業員に同じ条件で受診機会を与える規程を整えれば、福利厚生費として処理できます。
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