「過重労働」は、従業員の健康を損なうだけでなく、企業に深刻なリスクをもたらします。労災認定・損害賠償・社会的信用の失墜——そのダメージは計り知れません。2019年の働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制が法律で定められましたが、現場での運用に課題を感じている企業は今も多いです。今回は、過重労働対策の実務的な進め方を解説します。

過重労働がもたらすリスク
月80時間を超える時間外労働(いわゆる「過労死ライン」)は、脳・心臓疾患の発症リスクを大幅に高めます。厚生労働省の過労死等防止対策推進法のもと、企業は過重労働防止のための対策を講じる義務を負っています。健康経営優良法人の認定基準でも、労働時間の適正管理は重要な評価項目です。
過重労働対策の4つのアプローチ

アプローチ1:労働時間の正確な把握
残業時間を正確に把握していない企業は意外と多いです。タイムカード・PCログ・勤怠システムを組み合わせ、「申告と実態のズレ」をなくすことが第一歩です。特にリモートワーク環境では、勤務時間の実態把握が難しくなるため、ツールの整備が必要です。
アプローチ2:管理職の意識改革
「長く働く人が頑張っている」という意識が根強い職場では、残業が美徳化されます。管理職が率先して定時退社し、部下の残業に疑問を持つ文化を作ることが重要です。KPIに「部下の残業時間」を組み込む企業も増えています。
アプローチ3:業務の見直しと効率化
残業の原因が「業務量の多さ」にある場合、単に「帰れ」と言っても解決しません。業務の棚卸し・優先度の整理・ムダな会議の削減・ツールによる自動化を組み合わせることで、実質的な労働時間を減らします。
アプローチ4:長時間労働者への面接指導
月80時間超の残業が発生した従業員には、医師(産業医)による面接指導が法的に義務付けられています。面接指導を形式的なものにせず、実際の健康状態・業務負荷・ストレスの状況を把握する場として機能させることが大切です。
残業削減と生産性向上を両立させるには
「残業を減らせ」というだけでは、仕事が終わらなくなるか、サービス残業が増えるだけです。重要なのは「時間当たりの生産性を上げる」という視点です。目標管理の明確化・会議の効率化・権限委譲——これらを組み合わせることで、残業を減らしながら成果も上げる環境が作れます。
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よくある質問(FAQ)
- Q: 過労死ラインとは何時間の残業を指しますか?
- A: 過労死ラインとは月80時間を超える時間外労働を指します。この水準を超えると脳・心臓疾患の発症リスクが大幅に高まるとされており、企業には過重労働防止のための対策を講じる法的義務があります。
- Q: 月80時間超の残業が発生した場合、企業はどのような対応が必要ですか?
- A: 月80時間を超える残業が発生した従業員には、産業医による面接指導が法的に義務付けられています。形式的にならないよう、健康状態・業務負荷・ストレス状況を丁寧に確認することが重要です。
- Q: リモートワーク環境で労働時間を正確に把握するにはどうすればよいですか?
- A: リモートワーク環境では勤務時間の実態把握が難しくなります。タイムカード・PCログ・勤怠システムを組み合わせて「申告と実態のズレ」をなくすことが基本的な対策であり、適切なツール整備が不可欠です。
- Q: 管理職の意識改革で残業を減らすにはどうすればよいですか?
- A: 管理職が率先して定時退社し、部下の残業に疑問を持つ文化づくりが重要です。管理職のKPIに「部下の残業時間」を組み込むことで、長時間労働を是認しない組織風土を形成できます。
- Q: 残業を減らしながら生産性を上げるにはどうすればよいですか?
- A: 「残業を減らせ」と指示するだけでは不十分です。目標管理の明確化・会議の効率化・権限委譲を組み合わせ、時間当たりの生産性を高める視点で業務改革を進めることが、残業削減と成果向上の両立につながります。