プレゼンティーイズム測定は設問1つから始められます。中小企業向けに、設問の選び方・損失額の試算・改善施策までの流れを解説します。
- 中小企業に向く設問と、代表的な4つの測定手法の違い
- 「年間人件費×損失率」で損失額を試算する計算式
- 従業員100人で年間9,600万円になる試算の具体例
- 匿名・部署別集計で進める測定の5ステップ
- 結果を週1回15分の施策につなげる方法
プレゼンティーイズムの測定は、東大1項目版なら1問・約1分で実施できます。回答から損失率を出し、人件費に掛けて金額化し、部署別に見て施策を1つに絞れば、中小企業でも週1回15分の運用で改善につなげられます。
プレゼンティーイズム測定とは?なぜ中小企業にも必要なのか
プレゼンティーイズムとは、出勤していながら心身の不調で本来の力を発揮できず、生産性が低下している状態のことである。欠勤と違って外から見えないため、測定しなければ損失に気づけない。
経済産業省が公表している健康経営の資料によると、従業員の健康関連コストでは、医療費よりプレゼンティーイズムによる損失のほうが大きいとされている。少人数で業務を回す中小企業ほど、一人の不調が成果に直結する。
この話、マンガで読めます(無料・登録なしで途中まで)健康経営が「お飾り」になる会社のワケマンガで読む →プレゼンティーイズム測定の設問はどれを選ぶ?4つの手法を比較
中小企業には、設問が1つで済む東大1項目版が最も始めやすい。選ぶ基準は、回答の負担、年ごとの比較のしやすさ、金額への換算のしやすさの3点である。
| 手法 | 設問数 | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 東大1項目版 | 1問 | 健康時の仕事の出来を100%として自己評価。金額換算が簡単 | 初めて測る中小企業 |
| QQmethod | 2問程度 | 仕事の量と質を分けて把握できる | 業務内容に差がある職場 |
| WFun | 7問 | 仕事への支障の程度を点数化できる | 不調の影響を詳しく見たい企業 |
| WHO-HPQ | 複数問 | 国際的に使われ、欠勤も同時に把握できる | 他社や海外と比べたい企業 |
迷ったら東大1項目版で始め、2年目以降に必要なら他の手法を併用すればよい。
プレゼンティーイズムの損失額はどう試算する?従業員100人で年間9,600万円の例
損失額は、年間人件費×損失率(100%−仕事の出来の自己評価)で試算できる。手順は次の3つである。
- 全従業員に「健康時を100%とした過去4週間の仕事の出来」を回答してもらう
- 平均値を100から引いて損失率を出す
- 従業員数×平均人件費×損失率を計算する
例えば従業員100人、平均人件費600万円、平均の仕事の出来が84%(損失率16%)なら、600万円×100人×0.16で年間9,600万円の損失となる。損失率を2ポイント下げれば1,200万円の改善である。プレゼンティーイズムの損失額は損失額シミュレーターでも概算できる。
自己評価の数値なので、絶対額よりも毎年の推移を比べる使い方が適している。
プレゼンティーイズム測定を進める手順は?中小企業向け5ステップ
測定は目的の共有、匿名回答、集計、試算、施策決定の5ステップで進める。
- 目的は「評価」ではなく「職場改善」だと全員に伝える
- Googleフォームなどで匿名回答を集める
- 部署別・年代別に集計する(10人未満の区分は結合する)
- 損失率と損失額を試算する
- 損失が大きい要因を1つ選び、施策を決める
厚生労働省のこころの耳には職場のメンタルヘルス対策の情報がまとまっており、ストレスチェックの結果と併せて見ると要因を絞り込みやすい。
測定結果を改善施策につなげるには?形骸化させない3つのコツ
結果は1つの要因に絞り、週1回15分の小さな施策から始め、3か月ごとに同じ設問で再測定するのが効果的である。
- 睡眠・疲労が多い部署:残業時間の見直しと始業前のストレッチ
- 腰痛・肩こりが多い部署:立ち仕事や座り仕事の姿勢改善
- 気分の落ち込みが多い部署:上司との週1回の短い面談
WellConの支援では、施策が定着した企業の平均継続期間は3〜4年である。測定だけで終わると取り組みが形骸化するため、形骸化解決ページも参考にしてほしい。
プレゼンティーイズム測定で失敗しないために注意すべき点は?
失敗の多くは個人が特定される集計と、毎回設問が変わることが原因である。
- 回答は匿名にし、評価や処遇に使わないと明言する
- 毎回同じ設問・同じ時期で測定する
- 回答率が低い場合は、回答時間を就業時間内に確保する
外部支援を検討する場合のコンサル比較は、比較ページが参考になる。
よくある質問(FAQ)
- Q: プレゼンティーイズムの測定は何人から意味がありますか?
- A: 人数に下限はありません。ただし部署別に見る場合は、個人が特定されないよう1集計単位あたり10人以上が目安です。10人未満の会社は全社一括で集計し、年1〜2回の推移を比べると傾向がつかめます。
- Q: 東大1項目版とは何ですか?
- A: 病気やけががないときの仕事の出来を100%として、過去4週間の自分の仕事を0〜100%で自己評価する1問の設問です。回答は約1分で終わり、100から引いた値が損失率になります。
- Q: プレゼンティーイズムの測定頻度はどのくらいが適切ですか?
- A: 年1回の健康診断やストレスチェックと同時期に実施し、施策を始めたら3か月ごとに同じ設問で再測定するのが目安です。設問を変えると比較できないため、毎回同じものを使います。
- Q: 測定費用はどのくらいかかりますか?
- A: 東大1項目版は設問が1つで、Googleフォームなどの無料ツールでも実施できるため、費用はほぼかかりません。専用システムや外部サービスを使う場合のみ別途費用が発生するので、自社で始めてから検討すれば十分です。
- Q: 測定結果が悪かった場合、従業員の評価に使ってよいですか?
- A: 使ってはいけません。評価に使うと回答が実態より良く偏り、測定の意味が失われます。結果は部署別・年代別などの集計値として扱い、職場環境や施策の見直しにだけ活用してください。
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📘 この記事は健康経営の体系ガイドの一部です。全体像は健康経営とは?制度・認定・効果をまとめた完全ガイドでまとめて確認できます。
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