企業の再検査の受診勧奨は、通知・個別面談・再勧奨の3段階で進めると受診率が上がります。手順と文例を解説します。
- 再検査の受診勧奨で企業が担う役割と法的な位置づけ
- 結果通知から3か月後までの5ステップのフォロー手順
- 初回・再勧奨・上司向けにそのまま使える文例3種
- 受診が進まない理由別の対策と、仕組みを形骸化させないコツ
企業が再検査の受診勧奨で成果を出すには、結果通知から2週間以内に個別連絡し、1か月後・3か月後に再勧奨する流れを仕組み化することです。文例と産業医連携を使えば、本人任せにせず受診確認まで完結できます。
再検査の受診勧奨を企業が行う意味と位置づけとは?
再検査の受診勧奨とは、健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された従業員に対し、企業が受診を促し、受診結果まで確認する取り組みである。
労働安全衛生法では、事業者に健診結果の本人への通知(第66条の6)と、所見のある労働者についての医師等からの意見聴取(第66条の4)が定められています。一方で、再検査の受診そのものを強制する規定はありません。だからこそ、企業が仕組みとして勧奨することが重要になります。厚生労働省の「定期健康診断結果報告」によると、定期健診で何らかの所見が出る労働者は約6割にのぼります。所見のある人が全員受診しなければ、重症化の発見が遅れ、休職や生産性低下につながります。
詳しい制度は厚生労働省の公開情報で確認できます。なお、欠勤や集中力低下による損失(プレゼンティーイズム)は、損失額シミュレーターで自社の金額を試算できます。
要精密検査者の受診率を上げる5ステップの手順は?
受診率を上げる手順は、対象者の抽出→通知→個別面談→再勧奨→受診結果の確認の5ステップである。
各ステップの目安時間と担当は次のとおりです。
| ステップ | 時期の目安 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1. 対象者の抽出 | 結果受領後1週間 | 人事・健保 | 要再検査・要精密検査者の一覧化 |
| 2. 通知 | 2週間以内 | 人事 | 個別に書面またはメールで通知 |
| 3. 個別面談 | 1か月以内 | 産業医・保健師 | リスクの説明と予約の後押し |
| 4. 再勧奨 | 1か月後・3か月後 | 人事・上司 | 未受診者へ再連絡 |
| 5. 結果確認 | 受診後 | 産業医 | 受診結果の提出と就業上の措置の検討 |
ポイントは、通知を一斉配信にせず個別に行うことと、受診した後の結果まで確認することです。受診したかどうかを人事が把握できなければ、勧奨は完結しません。
再検査の受診勧奨にそのまま使える文例は?
文例は、初回通知・再勧奨・上司からの声かけの3種類を用意すれば、ほとんどの場面に対応できる。
それぞれ、病名を断定せず、受診の具体的な行動を示すのがコツです。
文例1:初回通知(結果受領から2週間以内)
- 件名:健康診断の再検査のご案内
- 本文:先日の健康診断で、再検査の対象となる項目がありました。早期に確認すれば、多くの場合は適切な対応が可能です。○月○日までに医療機関を受診し、結果を人事までご連絡ください。受診のための勤務調整は可能です。
文例2:再勧奨(1か月後)
- 本文:再検査のご受診状況を確認しています。まだの場合は、今週中の予約をおすすめします。予約や受診先でお困りの点があれば、産業医または人事までご相談ください。
文例3:上司向けの声かけ
- 本文:健診結果の内容には触れず「受診の時間は調整するので、都合のよい日を教えてください」とだけ伝える。
上司に伝える内容は、受診を促す一言に絞り、健診結果そのものは共有しないことが原則です。
再検査を受けない理由は何で、どう対策すればよいか?
再検査を受けない主な理由は、時間がない・自覚症状がない・費用や不安の3つであり、理由別に対策を変えると受診率が上がる。
- 時間がない:受診のための時間単位休暇や、勤務時間内の受診を認める。
- 自覚症状がない:産業医が、放置した場合のリスクを数値で説明する。
- 費用や不安:費用負担の目安や、受診先の候補をまとめて案内する。
弊社の支援では、週1回15分設計で、人事が未受診者に連絡する時間を固定する運用を勧めています。短い定例にすると、勧奨が後回しになりにくくなります。
外部の産業保健サービスや相談先を比べる場合は、比較ページの選び方も参考になります。
再検査の受診勧奨を形骸化させないためには?
形骸化を防ぐには、受診率を指標として毎月確認し、担当と期限を決めることが最も効果的である。
通知を出して終わりになる運用は、よくある形骸化の典型です。対策は次の3点です。
- 未受診者数を毎月、人事と産業医で共有する。
- 再勧奨の担当者と期限を一覧に明記する。
- 年度末に、受診率と受診後の就業上の措置を振り返る。
弊社が支援した企業では、取り組みの平均継続期間は3〜4年です。短期の施策で終わらせず、毎年の健診サイクルに組み込むことが成果につながります。制度が形だけになっている場合は、形骸化解決ページも参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
- Q: 再検査の受診は会社が強制できますか?
- A: 受診そのものの強制はできません。ただし、結果の通知や医師の意見聴取は事業者の義務です。受診を促す勧奨や、勤務調整などの環境整備は企業が積極的に行えます。
- Q: 再検査の費用は会社が負担すべきですか?
- A: 法律上、再検査の費用を会社が負担する義務はありません。ただし受診率を上げる目的で、費用補助や受診時間の勤務扱いを設ける企業もあります。就業規則で明確にしておきましょう。
- Q: 再検査の受診勧奨はいつまでに行うべきですか?
- A: 結果を受け取ってから2週間以内の通知が目安です。その後、1か月後と3か月後に未受診者へ再勧奨します。時間が空くほど受診率は下がるため、早い初動が重要です。
- Q: 受診したかどうかを会社が確認してもよいですか?
- A: 受診の有無の確認は可能です。ただし検査結果の詳細は要配慮個人情報にあたります。結果の提出は本人の同意を得たうえで、産業医を通じて受け取る運用が望ましいです。
- Q: 何度勧奨しても受診しない従業員にはどうすればよいですか?
- A: 産業医面談で理由を丁寧に聞き、時間・不安などの障壁を取り除きます。それでも受診しない場合は、勧奨の経緯を記録し、必要に応じて就業上の措置を産業医と検討します。
関連記事
- 高年齢労働者の転倒防止|エイジフレンドリーガイドラインに沿った体力チェックと対策の進め方
- 腰痛のプレゼンティーズム対策|損失の試算と職場ストレッチ・整体の福利厚生活用法
- 企業の禁煙の取り組み|受動喫煙防止法への対応と禁煙外来の費用補助・就業時間内禁煙の進め方
📘 この記事は健康経営の体系ガイドの一部です。全体像は健康経営とは?制度・認定・効果をまとめた完全ガイドでまとめて確認できます。
健康経営の導入・認定取得は、WellConの無料相談&プレゼンティーイズム損失シミュレーターからどうぞ。
