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WLQ・WFun・東大1項目版の使い方完全ガイド|プレゼンティーズム測定尺度の選び方とスコア計算手順【2026年版】

2026-06-10 (更新: 2026-06-11)

WLQ・WFun・東大1項目版の使い方完全ガイド|プレゼンティーズム測定尺度の選び方とスコア計算手順【2026年版】

プレゼンティーズム測定にはWLQ・WFun・東大1項目版の3尺度があり、計算方法と選び方の習得が健康経営推進の核心だ。

この記事でわかること

  • WLQ・WFun・東大1項目版それぞれの特徴と項目数の違い
  • 各尺度のスコア計算手順とカットオフ値の正しい解釈方法
  • 自社の規模・調査目的に合ったプレゼンティーズム尺度の選び方
  • 測定結果を健康経営施策・損失コスト試算につなげる実践4ステップ
この記事の要点

プレゼンティーズム測定の3主流はWLQ(25項目・詳細分析向け)・WFun(7項目・日本語標準化)・東大1項目版(1項目・モニタリング向け)。調査目的と運用負荷の2軸で使い分けるのが選び方の基本原則だ。

プレゼンティーズム測定尺度とは?WLQ・WFun・東大1項目版が選ばれる理由

プレゼンティーイズム(presenteeism)とは、出勤しているにもかかわらず心身の不調によって業務パフォーマンスが低下した状態を指す。東京大学の研究では、従業員1人あたりの年間損失額は30〜50万円相当に達するとされており、アブセンティーズム(欠勤による損失)の3〜4倍に相当する。健康経営優良法人の認定要件にもプレゼンティーズムの測定と改善が明記されており、適切な尺度選択とスコア計算手順の習得は担当者の必須スキルだ。

国内で広く採用される測定尺度はWLQ・WFun・東大1項目版の3系統だ。それぞれ項目数・測定領域・計算方法が異なるため、自社の調査目的と運用体制に合わせた選択が結果の精度と継続運用の鍵を握る。

WLQのスコア計算手順|25項目4サブスケールの使い方と産生性損失の算出法

WLQ(Work Limitations Questionnaire)は25項目・4つのサブスケールで構成される国際標準のプレゼンティーズム測定尺度で、米国のLernerらが2001年に開発し、日本語版の信頼性・妥当性も検証されている。

4サブスケールの内訳は次のとおり。

  • 時間管理(5項目):締め切り厳守・時間の有効活用に関する制限度
  • 身体的要求(6項目):力仕事・長時間立位など体力を要する作業への制限度
  • 精神的・対人的要求(9項目):集中力・記憶力・対人コミュニケーションの制限度
  • 生産量(5項目):仕事の量と質の達成度に関する制限度

スコア計算手順は3ステップだ。①各項目を1〜5点(5=制限なし)で回答させる。②サブスケールごとに平均点を算出し、0〜100の制限スコアに変換する(100=制限最大)。③WLQ産生性損失指標=各サブスケールスコアに原著論文の重みづけ係数を乗じて合算する。結果として「通常時比で〇%の生産性損失が発生している」と集団レベルで数値化できる。WLQは職務制限の詳細把握に優れており、大規模調査や学術的エビデンスの蓄積を目的とする場合に最適だ。

WFunのスコア計算手順|日本語標準化7項目尺度のカットオフ値と解釈方法

WFun(Work Functioning Impairment Scale)は7項目・4段階評定で構成される日本語オリジナルのプレゼンティーズム測定尺度だ。産業医科大学の永田智久らが2013年に開発し、日本の職場環境に即した設問設計が特徴である。

各項目は「1:まったくそのとおりだ」〜「4:まったく違う」の4段階で回答する。スコア計算は7項目の合計点(範囲:7〜28点)を算出するのみで、14点以上が業務機能障害ありのカットオフ値だ。この閾値は感度・特異度のバランスを検証した上で設定されており、国内複数の職域研究で再現性が確認されている。

WFunの最大の強みは、回答所要時間が2〜3分と短く、日本語版として標準化されている点だ。厚生労働省の労働安全衛生対策と組み合わせて運用する企業も多い。WellConの7万人支援実績においても、WFunは中小企業の初回プレゼンティーズム測定に最も多く採用されている尺度だ。毎月のパルスサーベイや健康診断後の追跡調査にも適している。

東大1項目版プレゼンティーズム尺度の計算方法と活用シーン

東大1項目版は「過去4週間で、健康上の問題がなかった場合と比べて仕事の出来はどのくらいでしたか?」という単一設問で測定する尺度だ。回答は0〜10の11段階(10=最高パフォーマンス)で、損失率(%)=(10-回答値)÷10×100と計算する。

計算例:回答「7」の場合、損失率=(10-7)÷10×100=30%の生産性損失。回答「9」なら損失率10%、「5」なら50%と直感的に解釈できる。集団平均をとれば「全社プレゼンティーズム損失率〇%」として経営層への報告資料に即活用できる。

東大1項目版はWLQ・WFunより情報量は少ないが、週次・月次モニタリングに最適だ。WellConでは週1回15分設計の健康プログラムと組み合わせた継続モニタリングで、3〜4年の継続率90%超を実現している。損失額シミュレーターと組み合わせれば、スコア1ポイント改善が年間コスト削減にどう貢献するかも可視化できる。

WLQ・WFun・東大1項目版の比較表|プレゼンティーズム尺度の選び方と判断基準

3尺度の比較では、調査目的・回答負荷・スコア活用方法の3軸で判断する。下表に主要スペックをまとめた。

比較項目 WLQ WFun 東大1項目版
項目数 25項目 7項目 1項目
回答時間 約10分 約2〜3分 約30秒
スコア範囲 0〜100(損失率%) 7〜28点 0〜10点(損失率換算可)
カットオフ値 なし(損失率で解釈) 14点以上で機能障害 なし(経時比較で活用)
言語・信頼性 日本語翻訳版・検証済み 日本語オリジナル・高 東大研究チーム開発・高
主な活用シーン 詳細分析・学術研究 定期健診・中小企業調査 KPIモニタリング・経営報告
費用目安 ライセンス確認要 無料使用可(条件あり) 無料

選び方の基本原則は3点だ。①初回導入・中小企業はWFunか東大1項目版から始めて回答負荷を最小化する。②健康経営優良法人(大規模法人)の認定で詳細エビデンスが必要ならWLQを採用する。③継続的なKPIトレンド管理は東大1項目版で月次モニタリングし、年1回だけWFunで詳細評価するハイブリッド運用が費用対効果の面で最も優れている。

なお、経済産業省の健康経営ポータルでは、健康投資管理会計ガイドラインにおいてプレゼンティーズム測定指標として3尺度すべてが認められており、どの尺度を選んでも優良法人認定の要件を満たせる。

測定スコアを健康経営施策に活かす4ステップ

プレゼンティーズムの測定は数値化そのものが目的ではなく、施策立案と効果検証に活用して初めて経営価値が生まれる。測定後の実践ステップは以下の4段階だ。

  1. セグメント分析:部署別・年代別・職種別にスコアを集計し、高リスク集団を特定する。
  2. 要因分析:高スコア集団に追加調査やインタビューを実施し、腰痛・メンタル・睡眠障害など主因を絞り込む。
  3. 介入施策の実施:要因に応じた施策(運動・ストレスマネジメント・睡眠改善)を週1回15分設計で継続運用する。
  4. 効果検証:6か月後・1年後に同尺度で再測定し、損失率の変化を経営層に数値で報告する。

WellConの7万人支援実績では、WFunスコア14点以上の従業員への個別保健指導と職場環境改善を組み合わせた介入で、6か月後の平均スコアが2.3点(約16%)改善した事例がある。このスコア改善が年間損失コストにどう反映されるかは、プレゼンティーイズム損失シミュレーターで試算できる。

よくある質問(FAQ)

Q: WLQ・WFun・東大1項目版のうち、健康経営優良法人申請に最適な尺度はどれですか?
A: 3尺度いずれも経済産業省ガイドラインで認められている。初回導入ならWFunが日本語標準化・回答負荷・コストのバランスに優れており、大規模法人で詳細エビデンスが必要な場合はWLQが最適だ。
Q: WFunの14点カットオフはどのような根拠で設定されていますか?
A: 永田智久ら(2013年)の開発論文に基づく。受診者集団における感度・特異度のバランスから設定された閾値で、国内複数の職域研究で再現性が確認されており、現在も産業保健分野の標準指標として広く使用されている。
Q: 東大1項目版のスコアを従業員個人にフィードバックしてよいですか?
A: 個人特定が可能な形でのフィードバックは不安や萎縮を招くリスクがある。部署単位の集計結果として共有し、個別フォローは産業医・保健師が担う運用が推奨される。開示ルールは事前に労使で合意しておくことが重要だ。
Q: プレゼンティーズム測定の適切な頻度はどのくらいですか?
A: 東大1項目版は月次、WFunは年1〜2回が目安だ。測定頻度が高すぎると回答疲れで精度が低下するため、モニタリング系(東大1項目版)と詳細分析系(WFun)を組み合わせるハイブリッド運用が最も費用対効果が高い。
Q: WLQのスコア計算に必要な重みづけ係数はどこで入手できますか?
A: Lerner et al.(2001年)の原著論文に係数表が掲載されている。日本語版の使用条件・ライセンスの詳細は産業医科大学や産業保健系の専門機関への問い合わせが確実で、WellConでも導入支援時にサポートを提供している。

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この記事の監修
中山友貴 / WellCon 健康経営コンサルタント

整体師として7万人の臨床現場に立ち、運動・リハビリ・職場復帰の支援に従事。その経験から「医学的根拠×IT定着×ROI可視化」を強みとするWellConを立ち上げ、従業員100〜300名の中堅企業向けに健康経営優良法人申請から運動プログラム定着まで一貫支援している。

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