特定保健指導の計算とは、腹囲・BMI・リスク要因の数から支援レベルを機械的に振り分ける「階層化」の作業を指す。
- 特定保健指導の計算=「階層化3ステップ」の具体的な進め方
- 積極的支援で必要な「180ポイント」の内訳と数え方
- 保険者が問われる「特定保健指導実施率」の計算式
- 計算を間違えやすい年齢・服薬のグレーゾーンと対処法
特定保健指導の計算は、①腹囲・BMI、②血糖・脂質・血圧・喫煙のリスク数、③年齢の3ステップで支援レベルを判定する仕組み。積極的支援は6か月で合計180ポイント以上が必要である。
特定保健指導の計算とは?階層化3ステップの全体像
特定保健指導の計算とは、特定健診の結果を使って対象者を「積極的支援」「動機付け支援」「情報提供」の3レベルに振り分ける階層化(かいそうか)のことである。厚生労働省の基準に沿って、次の3ステップで機械的に判定する。
- ステップ1(内臓脂肪):腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上、またはBMI25以上かを判定する。
- ステップ2(リスク要因):血糖・脂質・血圧の3項目と喫煙歴を数える。
- ステップ3(レベル決定):ステップ1・2の組み合わせと年齢で支援レベルを確定する。
詳細な判定値は厚生労働省「特定健診・特定保健指導について」で公開されており、実務ではこの基準表を正本として計算する。
ステップ2のリスク要因は「何個」で数える?
リスク要因は、以下の4項目のうち該当する「個数」で数える。個数が支援レベルを左右するため、計算の心臓部といえる。
- 血糖:空腹時血糖100mg/dL以上、またはHbA1c(NGSP)5.6%以上
- 脂質:中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール40mg/dL未満
- 血圧:収縮期130mmHg以上、または拡張期85mmHg以上
- 喫煙歴:①〜③のいずれか1つ以上に該当する場合のみ1個として加算
ここで服薬中の項目はカウントから除外し、保健指導ではなく受診勧奨の対象になる点が計算ミスの起きやすいポイントだ。血糖・脂質・血圧のいずれかで服薬がある人は、階層化の対象外として扱う。
特定保健指導の計算で支援レベルはこう決まる(早見表)
ステップ1と2の結果を組み合わせると、支援レベルは次のように決まる。腹囲・BMIとリスク個数を突き合わせるだけで確定できる。
| ステップ1の状態 | リスク要因の数 | 支援レベル(40〜64歳) | 65〜74歳の扱い |
|---|---|---|---|
| 腹囲基準を超過 | 2個以上 | 積極的支援 | 動機付け支援 |
| 1個 | 動機付け支援 | 動機付け支援 | |
| 0個 | 情報提供 | 情報提供 | |
| 腹囲基準内でBMI25以上 | 3個以上 | 積極的支援 | 動機付け支援 |
| 1〜2個 | 動機付け支援 | 動機付け支援 |
65〜74歳は積極的支援に該当しても動機付け支援に緩和されるのが実務上の重要ルール。年齢を見落として積極的支援に振り分けると、計算全体が誤りになる。
積極的支援の「180ポイント」はどう計算する?
積極的支援に該当した人には、初回面接のあと6か月間の継続支援を行い、合計180ポイント以上を積み上げる必要がある。ポイントは支援の種類ごとに設計されている。
- 個別支援(対面・ICT):5分あたり一定ポイントを付与
- 電話・電子メール等:回数や時間に応じてポイントを付与
- 合計180ポイント以上を6か月継続で達成し、最後に評価を行う
形式的に回数だけを積み上げると、面談が形骸化して行動変容につながらない。WellConでは週1回15分の短時間設計で接触頻度を保ち、3〜4年の継続率を実現している。ポイントを「消化」ではなく「習慣化」の指標として使うのが計算を成果に変えるコツだ。
保険者が問われる「実施率」の計算式とは?
特定保健指導実施率は、「当年度に保健指導を終了した人数 ÷ 特定保健指導の対象者数 × 100」で計算する。対象者数は階層化で積極的支援・動機付け支援に振り分けられた人数の合計だ。
実施率が低いと後期高齢者支援金の加算・減算に影響するため、保険者にとっては経営指標そのものである。従業員の健康課題を放置すると、欠勤に至らないまま生産性が下がるプレゼンティーイズムの損失も膨らむ。実施率と生産性は連動して管理するのが望ましい。支援会社の選び方や比較で迷う場合は、実施率の実績と継続率を必ず確認したい。
よくある質問(FAQ)
- Q: 特定保健指導の計算はエクセルで自作できますか?
- A: 腹囲・BMI・リスク数・年齢の分岐を作れば自作可能です。ただし服薬除外や65歳以上の緩和ルールを組み込まないと誤判定が起きるため、公式基準表との照合が必須です。
- Q: BMIと腹囲はどちらを優先して計算しますか?
- A: まず腹囲基準(男性85cm・女性90cm)で判定し、腹囲が基準内でもBMI25以上なら対象になります。両方を順にチェックする形で計算します。
- Q: 喫煙はリスク1個として必ず加算しますか?
- A: いいえ。血糖・脂質・血圧のいずれか1つ以上に該当する人だけ、喫煙を1個として加算します。3項目がすべて基準内なら喫煙は加算しません。
- Q: 服薬中の人は特定保健指導の対象になりますか?
- A: 血糖・脂質・血圧の治療薬を服用中の人は保健指導の対象外で、受診勧奨・医療管理の扱いになります。リスク数の計算からも除外します。
- Q: 積極的支援の180ポイントは全部対面で稼ぐ必要がありますか?
- A: いいえ。対面に加え電話やICT面談も対象で、種類ごとのポイントを合算して180点以上・6か月継続で達成できます。柔軟な組み合わせが可能です。
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