長時間労働 医師面接指導とは、月80時間超の残業者に医師が行う面談です。対象者の選び方から記録まで整理します。
- 面接指導の対象になる労働者の条件(月80時間超・月100時間超の違い)
- 労働時間の通知から申出・実施までの5ステップと期限
- 面接指導後に残すべき記録の項目と5年間の保存ルール
- 制度を形骸化させない運用と、小規模事業場の外部活用法
長時間労働 医師面接指導は、時間外・休日労働が月80時間を超え疲労の蓄積がある労働者が申し出ると、事業者が医師の面接を実施する義務のある制度です。結果は医師の意見を聴き、記録を5年間保存します。
長時間労働の医師面接指導とは?対象は月80時間超の労働者
医師面接指導とは、長時間労働で疲労が蓄積した労働者に医師が面談し、健康状態を確認して就業上の措置を判断する、労働安全衛生法第66条の8に基づく制度です。脳・心臓疾患の発症予防が目的で、2019年4月施行の働き方改革関連法により、労働時間の状況の客観的な把握もすべての企業に義務づけられました。
厚生労働省によると、面接指導の対象は休憩時間を除き1週40時間を超えた労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者です。事業主は該当者へ超過時間の情報を通知する必要があります。詳細は厚生労働省の公開資料で確認できます。
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対象者は3区分で選びます。一般の労働者は月80時間超かつ本人の申出が必要で、研究開発業務従事者と高度プロフェッショナル制度の対象者は月100時間超で申出なしに実施が義務となります。
| 区分 | 対象となる時間 | 申出 | 実施の目安 |
|---|---|---|---|
| 一般の労働者 | 時間外・休日労働が月80時間超(疲労蓄積あり) | 必要 | 申出後おおむね1か月以内 |
| 研究開発業務従事者 | 時間外・休日労働が月100時間超 | 不要 | 該当後、遅滞なく |
| 高度プロフェッショナル制度の対象者 | 健康管理時間が月100時間超 | 不要 | 該当後、遅滞なく |
上記に当たらなくても、月80時間超で申出のない人や健康に不安のある人には、面接指導またはこれに準ずる措置を講じる努力義務があります。対象者の抽出は、勤怠データを毎月同じ締め日で集計して行うと漏れを防げます。
申出から実施までの手順は?5ステップで整理
手順は5ステップです。実施の流れを時系列で押さえれば、期限を守った運用ができます。
- 毎月1回、時間外・休日労働時間を算定する
- 80時間超の労働者へ、算定後おおむね2週間以内に時間数を通知する
- 労働者が面接指導を申し出る(申出しやすい窓口を設ける)
- 申出後おおむね1か月以内に医師が面接指導を実施する
- 面接指導後おおむね1か月以内に、医師から就業上の措置の意見を聴く
実施にあたっては、事前に勤務状況や疲労蓄積度のチェック結果を医師へ共有すると、面談時間を有効に使えます。申出を理由にした不利益な取扱いは禁止されている点も、社内へ周知してください。
面接指導の記録には何を残す?保存期間は5年
面接指導の記録は5年間の保存が義務です。記録に残す項目は次のとおりです。
- 実施年月日と、対象労働者の氏名
- 面接指導を行った医師の氏名
- 労働者の疲労の蓄積の状況、その他の心身の状況
- 医師の意見(就業上の措置の要否や内容)
- 医師の意見を踏まえて会社が講じた措置の内容
記録は、医師の意見だけでなく会社が実際に行った措置まで残して初めて法令に沿った運用になります。健康情報なので、閲覧できる担当者を限定して管理してください。
長時間労働の医師面接指導を形骸化させない運用のコツは?
形骸化を防ぐ要点は、面接の「その後」を仕組みにすることです。面談しただけで終わる運用は形骸化解決ページで解説している典型的な失敗例で、残業が減らないまま同じ人が翌月も対象になります。
有効なのは、面接後に週1回15分設計の短いフォロー面談を組み、業務量や人員配置の見直しにつなげることです。弊社の支援先では、こうした産業保健の取り組みの平均継続期間は3〜4年で、定着すると対象者の再発が減る傾向があります。
体調不良で生産性が落ちるプレゼンティーイズムの損失は、損失額シミュレーターで試算できます。長時間労働者が多い職場ほど、経営への影響を数字で示すと対策の合意を得やすくなります。
産業医がいない小規模事業場はどう実施する?外部の選び方
常時50人未満の事業場でも面接指導の義務は同じで、地域産業保健センターの無料相談や外部の産業医サービスを使えば実施できます。
外部委託先を決める際は、面接指導の対応可否、実施までの日数、意見書の質を確認します。コンサル比較や選び方の観点は比較ページにまとめています。厚生労働省の労働安全衛生の情報ページも併せて確認してください。
よくある質問(FAQ)
- Q: 長時間労働の面接指導は何時間から対象ですか?
- A: 休憩を除く時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積がある労働者が申し出た場合が対象です。研究開発業務や高度プロフェッショナル制度は月100時間超で申出不要の義務です。
- Q: 面接指導の費用は誰が負担しますか?
- A: 法定の面接指導は事業者の義務のため、費用は会社が負担します。面接に要した時間の賃金の扱いは労使で協議して決めますが、支払うことが望ましいとされています。
- Q: 労働者が面接指導の申出をしない場合はどうなりますか?
- A: 申出がなければ法的な実施義務は生じませんが、月80時間超の方へ面接などの機会を設ける努力義務があります。申出しやすい窓口と不利益取扱いの禁止を周知しましょう。
- Q: 面接指導の結果の記録は何年保存しますか?
- A: 面接指導結果の記録は5年間の保存が必要です。実施年月日、対象者名、医師の意見、意見を踏まえて会社が講じた措置の内容などを漏れなく残してください。
- Q: 面接指導は産業医でなくても実施できますか?
- A: 産業医以外でも、労働者の健康管理を行うのに必要な医学の知識を持つ医師なら実施できます。50人未満の事業場は、地域産業保健センターの無料相談を利用する方法があります。
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