特定保健指導の実施率向上には、勤務時間内の実施と声かけの工夫が有効です。参加しない理由を整理し、具体策を解説します。
- 特定保健指導の実施率の現状と第4期の目標値(45%以上)
- 対象者が特定保健指導に参加しない5つの理由
- 勤務時間内に実施するための具体的な運用手順
- 上司・人事ができる声かけの文例とタイミング
- 実施率向上が形骸化しないための3つのチェックポイント
特定保健指導の実施率を上げる鍵は、参加しない理由である「時間がない」「必要性を感じない」を先に解消することである。勤務時間内実施、上司からの個別の声かけ、ICT面談の3点を組み合わせれば、全国平均26.5%を超える水準を狙える。
特定保健指導の実施率向上が必要な理由は?現状は26.5%
特定保健指導の実施率は、2022年度で26.5%にとどまっている。第4期(2024〜2029年度)の国の目標は45%以上であり、約20ポイントの開きがある。
特定保健指導とは、特定健診の結果でメタボリックシンドロームのリスクが高いと判定された40〜74歳に対し、生活習慣の改善を支援する制度である。支援は次の2種類に分かれる。
- 動機付け支援:原則1回の面談と、3か月後以降の実績評価
- 積極的支援:3か月以上の継続的な支援(面談と電話・メール等)
厚生労働省によると、第4期では腹囲2cm・体重2kgの減少といった成果を重視する評価(アウトカム評価)が導入された。受けっぱなしではなく、結果を出す支援が求められている。生活習慣病リスクの放置は、体調不良による生産性低下(プレゼンティーイズム)の損失にもつながる。自社の影響額は損失額シミュレーターで試算できる。
この話、マンガで読めます(無料・登録なしで途中まで)健康経営が「お飾り」になる会社のワケマンガで読む →対象者が特定保健指導に参加しない理由は?5つの原因と対策
参加しない主な理由は、「忙しい」「必要性を感じない」「面倒」「自覚症状がない」「何をされるか不安」の5つである。多くは本人の意欲ではなく、運用設計で解消できる。
| 参加しない理由 | 背景 | 有効な対策 |
|---|---|---|
| 忙しくて時間がない | 面談が就業時間外・遠方で設定されている | 勤務時間内・社内会場・オンライン面談 |
| 必要性を感じない | 自覚症状がなく、リスクが実感できない | 数値で将来リスクを示す、上司が個別に声かけ |
| 面倒・手続きが複雑 | 予約方法が分かりにくい | 日程を会社が先に確保し、案内を1枚に集約 |
| 指導されるのが嫌 | 叱責される印象がある | 「相談の場」と位置づけ、事前に内容を周知 |
| 途中で脱落する | 積極的支援は3か月以上続く | ICTで負担を減らし、短い面談を繰り返す |
特定保健指導の実施率向上に効く方法は?3つの施策
効果が出やすい施策は、①勤務時間内の実施、②上司・人事による個別の声かけ、③ICTを活用した面談の3つである。いずれも対象者の負担を下げる方向に働く。
- 日程の先取り:健診結果が届く前に、面談枠を会社が確保しておく
- 保険者・健診機関との連携:健診当日に初回面談を行う分割実施を活用する
- ICT面談:移動時間がなくなり、拠点が複数ある企業でも受けやすい
- 対象者リストの管理:未実施者を月次で確認し、早めに再案内する
WellConが支援する企業では、週1回15分設計(週に1回、15分だけ面談・フォローの枠を固定する運用)が定着しやすい。短時間なら業務への影響が小さく、現場の理解も得やすいためである。
特定保健指導を勤務時間内に実施するには?4つの手順
勤務時間内に実施するには、就業規則・業務調整・会場確保・周知の4つを先に整えることが必要である。面談時間を勤務扱いにすると明文化するだけで、参加のハードルは大きく下がる。
- 面談時間を勤務時間として扱うことを社内規程で明示する
- 部署ごとに業務の少ない時間帯を確認し、面談枠を設定する
- 会議室など社内の会場、またはオンライン環境を用意する
- 対象者と上司の双方に、日程と目的を事前に通知する
上司への通知が重要である。上司が「業務より優先してよい」と一言伝えるだけで、現場の遠慮は解消される。
特定保健指導の声かけはどう工夫する?対象者が動く3つのコツ
声かけは、「個別に」「数値を添えて」「相談の場として」伝えると効果が高い。一斉メールだけでは、自分ごととして受け取られにくい。
- 個別に伝える:「あなたの健診結果で、改善の余地が見つかりました」と本人宛てに伝える
- 数値を添える:腹囲や血圧など、本人の数値をもとに将来のリスクを説明する
- 相談の場にする:「指導」ではなく「無理なく続けられる方法を一緒に考える場」と伝える
タイミングは、健診結果の通知から2週間以内が目安である。時間が空くほど関心が薄れるため、結果通知と同時に案内するとよい。
特定保健指導の実施率向上で失敗しないために|形骸化を防ぐ3点
実施率向上で失敗する原因は、数字だけを追い、取り組みが形骸化することである。形骸化への対処は形骸化解決ページでも解説している。
- 実施率だけでなく、体重・腹囲の改善など成果も追う
- 外部の保健指導機関を使う場合は、費用だけでなく実績やサポート体制を基準にした選び方をする。比較の観点は比較ページが参考になる
- 毎年の振り返りで運用を見直し、改善を続ける
WellConの支援実績では、取り組みの平均継続期間は3〜4年である。単年で成果を求めず、数年単位で仕組みを定着させる姿勢が結果につながる。
よくある質問(FAQ)
- Q: 特定保健指導の実施率は全国でどのくらいですか?
- A: 2022年度の実施率は26.5%です。第4期(2024〜2029年度)の目標は45%以上で、まだ開きがあります。保険者の種類によっても差があるため、自社の保険者の数値を確認しましょう。
- Q: 特定保健指導を勤務時間内に行ってもよいですか?
- A: 問題ありません。むしろ参加しやすくなるため推奨されます。面談時間を勤務扱いにすると規程で明確にし、上司にも周知しておくと、現場が遠慮せず参加できます。
- Q: 特定保健指導を断る人にはどう対応すべきですか?
- A: まず断る理由を聞き取りましょう。時間の問題ならオンライン面談や日程変更、不安なら内容の説明が有効です。強制ではなく、相談の場だと伝え直すことが大切です。
- Q: 特定保健指導は受けないとどうなりますか?
- A: 受けなくても本人への罰則はありませんが、生活習慣病のリスクが放置されます。保険者には実施率に応じた後期高齢者支援金の加算・減算があるため、会社側の負担にも影響します。
- Q: ICT面談は実施率向上に効果がありますか?
- A: 効果が期待できます。移動時間がなく、就業時間内の短い枠でも受けられるため、拠点が分散する企業や多忙な対象者の参加ハードルが下がります。初回面談の分割実施と併用するのも有効です。
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