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健康経営 実務

がん治療と仕事の両立支援|通院休暇・時短勤務・主治医との連携を中小企業で整える方法

がん治療と仕事の両立支援|通院休暇・時短勤務・主治医との連携を中小企業で整える方法
この記事の目次6項目
  1. がん治療と仕事の両立支援とは?中小企業が今取り組むべき理由
  2. 通院休暇・時短勤務・時差出勤はどう整える?制度の比較表
  3. 主治医との連携は何を、どの順番で進めればよい?
  4. 中小企業が週1回15分で運用する両立支援の進め方は?
  5. がん治療と仕事の両立支援で失敗しないための3つの注意点は?
  6. よくある質問(FAQ)

がん治療と仕事の両立支援は、通院休暇・時短勤務・主治医との連携の3本柱で、中小企業でも無理なく整えられます。

この記事でわかること

  • がん治療と仕事の両立支援の定義と、2026年4月からの努力義務化の内容
  • 通院休暇・時短勤務・時差出勤・テレワークの比較表と使い分け
  • 主治医意見書と勤務情報提供書を使った連携の4ステップ
  • 週1回15分で回す運用設計と、形骸化を防ぐ3つの注意点
この記事の要点

がん治療と仕事の両立支援は、時間単位年休・時短勤務・時差出勤の3制度を整え、主治医意見書をもとに両立支援プランを作ることで実現できる。週1回15分の面談で運用すれば、中小企業でも負担を抑えて離職を防げる。

がん治療と仕事の両立支援とは?中小企業が今取り組むべき理由

がん治療と仕事の両立支援とは、がんと診断された従業員が治療を続けながら働けるよう、会社が休暇・勤務制度・主治医との連携体制を整える取り組みである。

厚生労働省によると、がん患者の約3人に1人は20〜64歳の就労世代である。国立がん研究センターの統計では、新たにがんと診断される人は年間約100万人にのぼる。医療の進歩で5年相対生存率は約66%まで上がり、「治療しながら働く」ことは特別なケースではなくなった。

中小企業では、1人の離職が現場の戦力と採用コストの両面で大きな痛手になる。2026年4月からは、治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務に位置づけられた。厚生労働省の治療と仕事の両立支援ナビでは、ガイドラインや様式例が公開されている。

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通院休暇・時短勤務・時差出勤はどう整える?制度の比較表

最初に整えるべき制度は、時間単位の年次有給休暇・時短勤務・時差出勤の3つである。いずれも追加設備が不要で、就業規則の見直しだけで始められる。

制度 向いている場面 導入難易度 運用のポイント
通院休暇(時間単位年休・特別休暇) 通院・検査・点滴 低 時間単位年休は年5日分まで。労使協定が必要
時短勤務 放射線治療・化学療法の副作用期 中 1日6時間など。給与・評価の扱いを明文化する
時差出勤・フレックス 朝の通院・体調の波がある時期 低 コアタイムを外し、当日変更も認める
テレワーク 副作用で通勤が負担な時期 中 業務の切り出しと機器の貸与を行う
傷病休職・復職支援 手術・入院 高 試し出勤や段階的な復職を設ける

選び方の基準は、治療の頻度と副作用の出方である。月1回の通院なら時間単位年休で足りるが、連日の放射線治療なら時差出勤や時短勤務が必要になる。制度の選び方や外部専門家のコンサル比較は、比較ページで整理している。

主治医との連携は何を、どの順番で進めればよい?

主治医との連携は、本人を介して「勤務情報提供書」を渡し、「主治医意見書」を受け取る流れで進める。会社が主治医へ直接問い合わせるのではなく、必ず本人の同意を前提にする。

  1. 本人から申出を受け、仕事内容・勤務時間・通勤方法を勤務情報提供書にまとめる
  2. 本人が主治医へ提出し、就業上の留意点を記した主治医意見書を受け取る
  3. 産業医または人事担当者が意見書を確認し、本人と配慮内容を話し合う
  4. 合意した内容を両立支援プランに記録し、治療の節目ごとに見直す

病名の詳細を会社が把握する必要はなく、「何時間まで働けるか」「避けるべき作業は何か」が分かれば足りる。医療機関側にも、療養・就労両立支援指導料という診療報酬の仕組みがあり、意見書の作成に協力を得やすい。産業医がいない小規模事業場では、地域の産業保健総合支援センターや両立支援コーディネーターに相談できる。

中小企業が週1回15分で運用する両立支援の進め方は?

中小企業の運用は、週1回15分設計で十分である。長い面談を設けるよりも、短く定期的に状況を確認するほうが、本人も上司も続けやすい。

  • 前半5分:体調と治療スケジュールの確認
  • 中盤5分:翌週の業務量と担当の調整
  • 後半5分:困りごとの把握と、プランへの記録

WellConの支援では、この形で運用が定着した企業の平均継続期間は3〜4年である。担当者が替わっても回るよう、面談の記録様式を1枚に統一しておくことが肝心だ。

休職が必要な場合は、健康保険の傷病手当金が支給開始日から通算で最長1年6か月受け取れる。支給額は標準報酬日額の約3分の2であり、休職前に従業員へ案内しておくと安心感につながる。周囲の社員には、本人の同意がない限り病名を伝えず、業務の分担変更だけを共有する。

がん治療と仕事の両立支援で失敗しないための3つの注意点は?

失敗の原因は、制度の形骸化・生産性低下の見落とし・本人意向の確認不足の3つに集約される。

  • 制度の形骸化:制度を作っても、申出しにくい空気があれば使われない。管理職研修と相談窓口の周知が欠かせない。形骸化を防ぐ具体策は形骸化解決ページで解説している。
  • 生産性低下の見落とし:治療中は出勤していても本来の力を発揮できない、プレゼンティーイズムが起こりやすい。自社の損失額は損失額シミュレーターで試算でき、支援の優先度を判断する材料になる。
  • 本人意向の確認不足:「配慮のつもり」で業務を減らしすぎると、本人の意欲を損なう。働き方は必ず本人と相談して決める。

この3点を押さえ、プランを治療の節目ごとに見直せば、両立支援は無理なく定着する。

よくある質問(FAQ)

Q: がん治療中でも仕事を続けられますか?
A: 続けられます。治療内容や副作用の程度は人により異なるため、主治医の意見と本人の希望をもとに、勤務時間や業務内容を調整すれば就業継続は十分可能です。厚生労働省もガイドラインで両立を推奨しています。
Q: がんと診断されたら会社に報告する義務はありますか?
A: 法律上、病名を会社に報告する義務はありません。ただし配慮を受けるには、就業に必要な情報を本人の同意のもとで共有する必要があります。会社も病名の詳細ではなく、勤務上必要な範囲だけを把握すれば足ります。
Q: 傷病手当金はいつまでもらえますか?
A: 健康保険の傷病手当金は、支給開始日から通算で最長1年6か月受け取れます。支給額は標準報酬日額の約3分の2です。治療で休職する際の生活を支える制度として、事前に従業員へ案内しておくと安心です。
Q: 中小企業で両立支援の費用はどれくらいかかりますか?
A: 基本の運用は就業規則の見直しと面談だけなので、大きな費用はかかりません。時間単位年休や時差出勤は追加設備が不要です。産業医や社労士に相談する場合は、顧問契約の範囲内で対応できることも多いです。
Q: 両立支援プランとは何ですか?
A: 両立支援プランとは、治療スケジュールに合わせた勤務時間・業務内容・休暇の取得方法を、本人と会社が話し合ってまとめた計画書です。主治医意見書をもとに作成し、定期的に見直します。

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この記事の監修
中山友貴 / WellCon 健康経営コンサルタント

ストレッチジムの店舗運営と整体院向けSaaS「バディフル」(500院以上導入)を通じて、IT×店舗運営の両軸で健康経営支援に従事。「医学的根拠×IT定着×ROI可視化」を強みとするWellConを立ち上げ、従業員100〜300名の中堅企業向けに健康経営優良法人申請から運動プログラム定着まで一貫支援している。

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この記事の監修

中山 友貴WellCon 健康経営コンサルタント/株式会社co-nect 代表

整体院向けシステム「バディフル」(500院以上が導入)とストレッチジムの店舗運営で積み上げた現場の知見をもとに、従業員100〜300名の企業の健康経営優良法人の認定取得から、社内での運動プログラム定着までを支援している。

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